子供用ランドセル

ランドセルと色彩心理学の話(VONDSランドセルコラム)

着用黒
 

一昔前は赤と黒の2色しかなかったランドセルも、現代ではさまざまなカラーバリエーションがあります。緑や紫、水色やオレンジ色のランドセルが売り場の棚には並び、眺めているとまるで虹のような色鮮やかさです。

ランドセルの色選びでお悩みの親御さんも多いことと思います。ここでは色彩心理学に基づいた、色の持つ効果と特性をご紹介します。

黒
黒いランドセルは小さく見えるって本当?

黒色や紺色など、明度(明るさの度合い)の低い色のことを「収縮色」と呼びます。よく着痩せして見せたかったら黒い服を着ると良いと言いますが、これは黒色が収縮色であり、実際の大きさよりも小さく目に見えるからです。

例えば水色のランドセルと黒色のランドセルを隣に並べた場合、黒色の方が若干小さく感じられるはず。これは、収縮色が持つ色彩効果のひとつです。

余談ですが、囲碁に使う碁石は、黒石の方が大きめに作られています。(黒石は直径22.2mm、白石は21.9mmです)これは「黒色の方が小さく見えてしまう」という目の錯覚を修正するためのものです。

さて、黒色のランドセルは収縮色ですから、見る人にシャープな引き締まった感じの印象を与えることができます。また、黒は「寒色」であるため、人に重量感を抱かせる色彩でもあります。

「重量感」と表現するとあまり良い響きではありませんが、硬くて頑丈でずっしりとした安心感、そして無彩色ならではの落ち着いた感覚が黒色にはあります。加えて、黒は高級さを感じさせる色であり、スーツやタクシーなどのスタンダードカラーとしても採用されています。

無彩色の良いところは、飽きが来なくて長く使い続けられるところです。さまざまなカラーバリエーションが増えてきた今なお「黒色」が定番なのは頷ける話です。

赤
赤色のランドセルは目に飛び込んで見える?

「赤いランドセル」と「青いランドセル」を並べて、遠くから眺めた場合のことを考えてみましょう。ふたつとも同じ距離にあるはずなのに、赤いランドセルの方が近くにあるように見えます。そして青いランドセルは遠くにあるように見えます。

この色彩心理効果は信号機にも採用されています。車を運転していて、目の前の信号が赤色に変わった瞬間にハッとしたことはありませんか。もっと遠くにあったように感じていた信号機の光が、いきなり眼前に飛び込んでくるような感覚。

こうした不思議が起こるのは、赤が「進出色」であり、青が「後退色」であるからです。やや専門的な話となりますが、赤色は可視光線のなかで長波長の光であり、青色は短波長の光です。

長波長の光(赤色)は屈折率が小さいため、人間の網膜を通したときに短波長の光(青色)よりも水晶体レンズから離れた位置で結像します。そのため赤と青とでは、距離感が違って見え、赤の方が近くにあるように認識されます。(これを軸上色収差説と言いますが、学説は諸説あります)赤い色は目立つというのには、このような科学的な理由があるのですね。

さて、赤色のランドセルですが、一番の特徴はよく目立つということです。昼間の明るい時間帯であれば、じつは黄色よりも赤色の方が「進出色」としての効果は強く、遠くからでもはっきりと認識できます。

赤色は、情熱的で暖かいイメージを連想させます。赤は「暖色」でもありますから、元気で活発な印象を与えてくれます。一方で、日本では「女の子が赤色」という連想が働きます。これは色彩心理によるものではなく、色の象徴性の文化によって形作られたものです。

「ますだくんのランドセル」(武田美穂・作)という絵本では、主人公の男の子が赤いランドセルを背負って小学校に通います。元気活発な男の子が身に付ける赤いランドセルも、意外とおしゃれで似合うものです。

茶
さまざまな色のもたらす連想効果

ここからは赤と黒以外の色の持つイメージと効果について見ていきましょう。

『茶色』

茶色は、樹の幹や枝、地面の土、落ち葉など、身の回りの自然によく見られる色彩であり、落ち着いた印象を与えます。渋くて大人っぽい雰囲気を醸し出すことから、喫茶店やホテルのイメージカラーとしても定番です。一方で「チョコレート色」として子どもにも人気が高く、大人の渋さだけでなくスイートな甘さも合わせ持つ不思議な色です。

 

『オレンジ色』

オレンジは赤色と同じく暖色のひとつで、太陽を想起させる「明るく陽気な印象」を与えてくれます。みかんやかぼちゃなど、果物にもオレンジ色のものが多いです。オレンジは人間にとって恵みの象徴となる色であり、とくに「楽しさ」のイメージが強いとされます。

 

『黄色』

黄色は明るさを連想させる色です。夜間の反射板や交通標識にも見られるように、目立つ色(進出色)としての役割を果たします。金は富の象徴であり、月が繁栄の象徴であることからも、黄色は縁起の良い色としても知られます。

 

『緑色』

緑色は、草木や森など自然を想起させる色です。黄緑はフレッシュな若々しさを、反対に深緑は落ち着いた大人の印象を与えます。緑は「中性色」のひとつであり、暖かさを感じさせる色ではありませんが、自然の「優しい」イメージを見る人に感じさせます。

 

『青色』

青色は、海や空をイメージさせる色であり、静かで澄んだ印象を与えます。企業のイメージカラーとして用いられる場合には「知的さ」「誠実さ」を象徴する色でもあります。病院でも青いカーテンが使われるケースが多いように、青は人の心を落ち着かせる「沈静色」のひとつです。クールさを出したいときには、青色がぴったりです。

 

『紫色』

紫色は、高貴で上品な印象を与えます。聖徳太子の制定した冠位十二階でも、紫色の冠は最も位の高い人物が身に付けるものとして定められました。紫といえばラベンダーやスミレの花を連想しますが、やはり雅やかで優雅なイメージが強い色ですね。

 

『桃色』

桃色は「温暖色」のひとつであり、桜の花に見られるように、春先を感じさせる暖かい印象を与えてくれます。可愛らしいイメージの強い色であり、女の子には人気の色です。赤色よりも柔らかくてふんわりと軽い感じがするのは、赤よりもピンクの方が明度が高いからです。ピンクや水色など、明度の高い色は、柔らかく軽く感じられます。

緑好きな色を見つけよう

ここまでご紹介したように、色にはさまざまな心理的効果があります。しかし何よりも大切なのは「自分の好きな色を見つけること」です。

「黄色が明るくて黒色が高級で大人っぽい」というのは、ひとつのものの見方、ステロタイプに過ぎません。黄色からレモン果実のようなクールで冷たい感じを連想しても良いですし、黒色から元気に飛び回るカブトムシをイメージしても良いのです。

ランドセルは6年間使うものですから、色選びはじっくりと時間をかけて。ぜひお子さんの「好きな色」を一緒に見つけて、お気に入りのランドセルを探しましょう。