子供用ランドセル

世界の小学生の「通学手段」と「通学カバン」の事情(ドイツ編)

世界の小学生の「通学手段」と「通学カバン」の事情(ドイツ編)

皆それぞれのランドセルを背負って、各班ごとに登下校をする。日本の子どもたちの通学風景は私たちにとっては馴染み深いですが、他の国の人にとっては珍しいものかもしれません。

この記事では世界各国の小学生に目を向けて、日本との通学事情の違いについてご紹介をいたします。今回ピックアップするのは「ドイツ」です。

ドイツの小学生は自転車やキックボードで学校に登校するって本当?

日本と違い、ドイツの小学生はさまざまな通学方法を持っています。徒歩やスクールバスで学校に通う子もいれば、自転車やキックボードに乗って学校に通う子もいます。

通学手法としてはウェーブボード(スケートボードの一種)も人気で、ドイツでは小学校就学前の小さな子どもがウェーブボードでバランスを取ってすいすいと乗りこなしている光景を見ますから驚きです。

子どもが小さなうちから自転車・キックボード・ウェーブボードなどの乗り物を使いこなせるようにすることはモビリティ教育(交通教育)の一環としてむしろ推奨されています。

交通安全のための教育にも力を入れていて、ドイツの小学校では「自転車の乗り方」の授業もあるそうです。またサイクリング能力の検定試験も実施されています。

首都ベルリンでは自転車が市民の交通手段として広く浸透しており「自転車専用車線」「貸し自転車施設」「自転車を車内に持ち込める鉄道」など、さまざまなインフラが整っています。子どもでも比較的安全に登下校で自転車を使わせられるのには、そうした背景があります。

もちろん、登下校時の子どもの交通事故は、ひとつの解決すべき課題となっています。ドイツの小学生は法定傷害保険に加入しているため、登下校時の事故についてはカバーされるのですが、下校時に寄り道をした場合などにしばしば保険が適用されるか否かが問題となるようです。

そのため、より包括的に子どもの交通事故に備えられる民間の保険商品も人気を集めています。

日本でもドイツでも小学生の通学カバンが重いことは有名です。日本の小学生からすると、自転車に荷物を乗せて通学ができるドイツの子どもたちが少しうらやましいかもしれませんね。

ドイツの他のヨーロッパ諸国でも、小学生が自転車通学をするところは多いです。例えばフィンランドでは自転車通学もできますし、冬場で積雪のあるときにはスキーに乗って学校に来る子もいるそうです。

日本のランドセルとドイツのバックパック

日本のランドセルは革製のものが主流です。革製品は「重い」ことが最大の難点でしたが、クラリーノ、ベルバイオ5等の軽量な人工皮革が開発され、日本のランドセル市場は発展を遂げてきました。

一方でドイツでは布製またはナイロン製のバックパックが広く使われています。日本のランドセルの多くが1kg以上の重量を持つのに対して、ドイツの子ども用バックパックは0.80.9kgと軽量なのが特徴です。

かつてドイツには「通学カバンの(荷物を含めた)最大重量が、子どもの体重の10%を超えてはならない」という業界規格があり、例えば9才の子の体重が32kgであれば総重量3.2kg以上のものを背負わせるべきではないとする考えがありました。

そのため革よりも軽量であるナイロン製バッグが好まれたのですね。ちなみに上記の規格は科学的な根拠がないものとして2010年に削除され、現在では「体重の1215%以内」がひとつの目安とされています。

ドイツの小学校では教科書が学校共用のものとして使われるため、教科書は家に持ち帰らなくても大丈夫な学校が多いようです。反面、持ち帰りのワークブックやノートが大きくかさばるようで、通学カバン(バックパック)も20リットル超の大容量のものが使われています。

小学生の使うバックパックには、日本のランドセルと共通するところがいくつかあります。

例えば表面に交通事故防止のための蛍光体や反射板を取り付けてあったり、背面のクッションが体幹に沿ってカーブを描いていたり。

あるいは身体にかかる重力を分散させるためにチェストベルトと腰部分のベルト(ストラップ)で固定できるようにしてあったり、子どもの身長に応じて肩ベルトの位置を可変できる構造にしてあったり。(骨盤サポーター付きの製品まであります)

DIN 58124」と呼ばれるドイツの通学カバンの規格では、バックパックの蛍光体の占める割合や撥水性・通気性、背面のクッションの形状からストラップの数、高さや重量に至るまで、細かく基準が定められています。

肩ベルトや背面クッションの形状を工夫して、より重心を安定させるデザインにする。あるいは蛍光板を取り付けて、暗がりでも視認されやすくする。撥水性や通気性、収納性を高めてより使いやすいカバンにする。これらはすべて日本のランドセルでも製品開発が進められてきたことです。

ランドセルとバックパックとで素材こそ異なるものの、「子どもが安心して快適に使うことができる製品」という理想を実現するために、両者が同じような進化を遂げてきた事実には思わず感心してしまいます。

以上、ここではドイツの小学生の通学手段と通学カバンについてのトピックをご紹介いたしました。通学事情ひとつ取っても、その国の理解が深まって大変興味深いです。もし海外旅行に出かける際は、こうした世界の子どもたちの通学事情にも目を向けてみると面白いかもしれませんね。

・参考文献

ドイツの小学生(多田孝志・監修/学研教育出版)

・参考サイト

Schulranzen – Wikipedia

通学かばん(ウィキペディア)

https://de.wikipedia.org/wiki/Schulranzen

Schulranzen Gewicht | Empfehlung zum Gewicht von Schulranzen

通学かばんの重量に関する推奨事項(aruzzi taugo社)

http://www.aruzzitaugo.com/schulranzen-gewicht.html

Haltungsschäden bei Kindern Die Mär vom zu schweren Ranzen

重い通学かばんについての神話(Suddeutsche Zeitung/ミュンヘンの新聞社)

http://www.sueddeutsche.de/gesundheit/haltungsschaeden-bei-kindern-die-maer-vom-zu-schweren-ranzen-1.1445185