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意外と知らない「小学校給食」の歴史と雑学

意外と知らない「小学校給食」の歴史と雑学

 

小学生のときは給食の時間がいちばん楽しみだった、という方は多いと思います。「学校給食」は今やあって当たり前の制度となっていますが、昔から存在していたわけではありません。

 

この記事では、知っているようで意外と知らない「学校給食」についての歴史と雑学をご紹介いたします。

 

 学校給食はいつから始まったの?

 

日本で初めての学校給食は1889年(明治22年)に山形県鶴岡町の私立忠愛小学校で始まりました。「私立」の言葉から分かりますとおり、この学校給食は国の制度によるものではありません。学校側が、貧しい子どものために自主的にやっていた慈善事業だったのです。

 

1889年の学校給食は「おにぎり・塩鮭・お漬け物」という簡素なメニュー。当時の給食献立を再現した写真と歴史年表の詳細は、独立行政法人日本スポーツ振興センターのホームページ(http://www.jpnsport.go.jp/anzen/anzen_school/tabid/528/Default.aspx)で公開されています。

 

 

どのようにして現代のような学校給食制度になったの?

 

国家が学校給食に補助金を出すようになったのは1932年(昭和7年)に入ってからのことです。1923年(大正12年)の関東大震災や1929年(昭和4年)の世界恐慌を経て、日本経済は大変なダメージを受けます。不況の拡大に伴い「児童の貧困」が深刻な問題として浮かび上がったのです。

 

当時施行された訓令が「学校給食臨時施設方法」というもので、国庫から給食補助のために67万円が支出されました。67万円と聞くと少なく感じられますが、現代の貨幣価値に置き換えるとおおよそ16億円以上となります。

 

ただ、これでも全児童をカバーするのは到底不可能で、学校給食を受けられた児童は数%程度だったとされます。

 

汐文社から出版されている「ビジュアル版 学校の歴史1 学校生活編」によりますと『当時は給食を実施している学校は貧乏学校だといううわさも流され、学校給食は日陰の存在でした』(引用:同著47p)とのことで、まだまだ学校給食の普及にはほど遠い現状だったようです。

 

その後、第二次世界大戦の激化により学校給食どころではなくなり(子どもたちは学童疎開を余儀なくされ)給食は一時期中断されます。

 

大戦終結後、アジア救済連盟(LARA)・国際連合児童基金(ユニセフ)・占領地域救済資金(ガリオア)等の支援を受けて学校給食が全国に広まってゆき、1951年(昭和26年)には完全給食へと移行しました。

 

現代へと至る給食制度が整ったのは1954年(昭和29年)に入ってからで、この頃にようやく「学校給食法」が制定されました。こうした給食制度の移り変わりと経緯については文部科学省のホームページでも詳しく紹介されています。

 

※文部科学省 学校給食の普及・奨励

((http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1317788.htm

 

ご年配の方でしたら、昭和20~30年代の学校給食制度の移り変わりは強く記憶に残っていることと思います。ご両親や祖父母に当時の学校給食がどんなだったかを尋ねてみると、きっと貴重な体験談が聞けるはずです。

 

 

給食のメニューは誰が考えているの?

学校給食の献立は栄養士もしくは管理栄養士の人が考えています。

 

給食の献立を作るのは大変なことで、法律や予算の縛りもあり「何でも好きなメニューを給食にする」というわけには行きません。

 

学校給食では文部科学省が要請する「栄養所要量」の基準を満たす必要があります。学校給食実施基準ではエネルギー、タンパク質、脂質、ナトリウム、カルシウム、ビタミン、食物繊維など満たすべき栄養基準が事細かに決められているのです。

 

これらの栄養基準を満たしたうえで、(調理師の活動時間も限られているため)比較的短時間で調理でき、なおかつ予算内で調達できる食材を使い、さらには食物アレルギー等にも配慮された献立とする。もちろん、子どもたちに美味しく食べてもらえるような給食とするのが理想です。

 

もうひとつ付け加えると、近年の学校給食ではたんに栄養を摂らせるだけでなく「子どもたちに食育の機会を与える」といったことを重視しています。そのため、地産地消の野菜を使った特産料理や、郷土食や行事食による伝統的な食文化への理解を育む、といったことも考えなければなりません。

 

こうしたありとあらゆる方面に気を配って、栄養士の方々は毎日の給食メニューを考え出しています。

 

 

子どもたちは学校給食が好き?

 

学校給食のひとつの役割として「子どもの偏食を無くす」ことが挙げられます。ピーマンやにんじんが嫌いだったけれど給食のおかげで食べられるようになった、という人は多いのではないでしょうか。

 

給食では栄養バランスと食育を指針とした献立が出るため、必ずしも子どもたちの好きな料理が出てくるとは限りません。苦手な給食を残してしまう児童も多いです。

 

いわゆる「給食の食べ残し」による食品廃棄物は、ひとつの解決すべき社会問題となっています。環境省の調査では、学校給食では児童1人当たりにつき約17.2kgもの食品ロスが生じているとの結果が出ています。

※環境省 学校給食から発生する食品ロス等の状況に関する調査結果について

http://www.env.go.jp/press/100941.html

 

しかしそれでも、子どもたちにアンケートを取ってみると「給食が好き」と答える小学生が大多数を占めるようです。独立行政法人日本スポーツ振興センターの実施した平成22年度児童生徒の食生活実態調査では75.5%の児童が学校給食が大好き・好きと回答しています。

※日本スポーツ振興センター 食生活実態調査

http://www.jpnsport.go.jp/anzen/anzen_school/tyosakekka/tabid/1490/Default.aspx

 

多くの子どもたちにとって給食の時間が楽しみとなっているのは、学校給食に携わる栄養教諭・栄養士・調理師さんの努力のたまものと言えるでしょう。

 

2016年は学校給食業務の民間委託に伴うメリット・デメリット、さまざまな問題点が議論された年でもありました。また、野菜価格の高騰で給食が中止となってしまった学校のニュースも話題に上がりました。

 

まだまだ、給食制度は発展の段階にあります。子どもたちにとっての給食がより良いものとなっていくことを願ってやみません。

 

最後に、本記事を書くうえで参考にした学校給食について深く学べる文献をご紹介いたします。

 

『ビジュアル版 学校の歴史〈1〉学校生活編』岩本 努、渡辺 賢二、保坂 和雄(共著)汐文社

 

『学校給食の役割と課題を内側から明かす』佐々木 輝雄(著)筑波書房

 

『よくわかる栄養教諭―食育の基礎知識』藤澤 良知、芦川 修貮、古畑 公、田中 弘之、田中 延子(共著) 同文書院