子供用ランドセル

小学生の通学かばんがリュックサックではなくランドセルである理由

小学生の通学かばんがリュックサックではなくランドセルである理由

 

どうして小学生の通学かばんがリュックサックではなくてランドセルなのか、疑問に思われたことはないでしょうか。なかには「ランドセルは重いし高価なので、リュックサックの方が良い」という声もあります。

 

通学かばんにランドセルが使われるのはたしかに日本特有で、海外ですと子どもはリュックサックやショルダーバッグに荷物を入れて通学します。日本にランドセルが根付いている理由は、リュックサックとランドセルの性質の違いを知ると見えてきます。

 

この記事ではランドセルとリュックサックの違い、そして小学生の通学かばんにランドセルが採用される理由をご紹介いたします。

 

重いランドセルよりも軽いリュックサックの方が良い?

 

 

子どもの通学かばんにはリュックサックの方が優れているとされる論拠に、重さの問題があります。

 

ランドセルは比較的軽量と言われる人工皮革素材のものでも1200g、天然皮革のコードバンや牛革であれば1500g前後の重量を持ちます。対して、リュックサックは1kgを切る製品が多く、ナイロン製であれば重量は700g程度です。

 

純粋に重さで比較した場合に、軽量なリュックサックの方が子どもにとって良さそうに思われます。しかし結論を出す前に、下記の点を考慮する必要があります。

 

・通学かばんに入れる荷物の重さが、小学校ではおよそ1kg~2kgとなる

・荷物の大半はB5判~A4判の教科書・ノート類が占める

 

そう、じつのところランドセルとリュックサックの決定的な違いというのは、上記の点が考慮されているか否かです。

 

たしかに、中に入れる荷物が軽量である場合(例えばお弁当と折りたたみ傘とノート数冊程度)であれば、ランドセルよりも軽量なリュックサックが適します。

 

しかしながら1~2kg前後の教科書を毎日6年間通学で持ち運ぶ場合においては、耐久性が高くノート類を収納しやすい形状であるランドセルに利があります。

 

これはリュックサックであってもランドセルであっても同じことなのですが、背負ったときに体にかかる負担は、重量の大小よりも「重心のかかり方」で決まります。

 

ランドセルでは肩ベルトと背面のクッションを身体にぴたっとフィットさせることにより、荷物の重心が腰よりも高い位置、そして真下方向に働くようにと設計されています。つまり教科書類を中に詰め込んだときに、体感重量が最も軽く、身体が楽に感じるデザインとなっているのです。

 

もしも子どもに、一般の大人用のリュックサックを背負わせた場合、たとえどれだけ軽量なリュックであったとしても、体には少なからぬ負担がかかります。

 

肩ベルトのサイズや長さが合っていなければ、肩を痛めたり猫背になったりする危険性があります。荷物に体が後ろ方向に引っ張られる形となるので、前傾姿勢となり負担がかかります。

 

大きすぎるリュックサックの場合は、荷物の重心が腰よりも下がってしまいますから、体感重量も重くなってしまいます。

 

したがって結論を述べますと、(子ども用に設計されたものではない)一般流通するリュックサックよりかは、ランドセルの方が軽く感じられ、身体への負担も少ないのです。

 

日本で子どもの通学かばんにランドセルが用いられるのは文化的な側面ももちろん大きいです。しかしそれ以上に、ランドセルが子どもの体のために設計されたかばんであるという理由が最も大きいと言えるでしょう。

 

 

なぜ海外ではランドセルではなくリュックサックが使われるの?

 

 

ここまでランドセルの利点について書いてきました。しかし「それならどうして海外ではランドセルではなくリュックサックが通学かばんに採用されているのだろう」と疑問に感じられたかもしれません。

 

これは国によってさまざまな事情があります。

 

例えばアメリカでは、小学校に備え付けのロッカーがあるため教科書の持ち帰りが必要でなく、リュックサックや手提げかばんで済むという学校もあります。また、重い教科書を学校に持って行く必要のあるときには(車通学なので)リュックサックではなくキャリーケースに入れて運ぶという子どもも多いようです。

 

フィンランドやノルウェー、ドイツでは教科書が貸出制ですから、やはり日本のように重い教科書を毎日持ち帰る必要はなく、簡単なリュックサックでも荷物を運ぶには十分です。それにヨーロッパでは小学生が自転車通学をする例も珍しくありませんから、重い荷物でも自転車のカゴに入れられます。

 

日本でランドセルが発展した背景のひとつには「日本では子どもが重い教科書を毎日持ち運ばなければならない」という特別な事情があるとも言えるでしょう。もし近い未来に、小学校の教科書が電子化されてタブレットパソコン1台で済むようになれば、ランドセルのあり方も変わるかもしれませんね。

 

 

さておき、日本のランドセルと海外の通学かばんとを比べるときに、ひとつ参考になるのがドイツの事例です。ドイツでは通学かばんは『Schulranzen』と呼ばれるリュックサック(バックパック)が用いられます。

 

素材は布・ナイロン製なので、一見するとふつうのリュックサックと同じです。しかし、その構造をよく観察すると、日本のランドセルととても似ているのです。

 

ドイツの通学用バックパックで、ergobagという人気ブランドがあります。教科書やノートを出し入れしやすいように収納部が箱型となっており、ランドセルの大マチ・小マチに相当する収納ポケットを備えています。

 

肩ベルトは幅が広く、肩に食い込まないようになっており、さらに身体のラインに沿う形の立体湾曲構造となっています。背面部にもクッションがあり、身体にバックパックを密着させフィットさせるための、腰ベルトとチェストストラップの二箇所で留められるようになっています。

 

そのほかに、子どもの成長に応じて肩ベルトの位置を調整することができ、交通安全を考えてか蛍光素材が一部アクセントに使われています。

 

これらの特徴はすべて、日本のランドセルが進化してきた方向性と重なります。すなわちかばんを子どもの身体にフィットさせることで姿勢が悪くなるのを防ぎ、荷物をより軽く感じることのできる、身体への負担が少ない構造となっています。

 

人間工学に基づき子どもの成長のことを考えて製品をつくった場合、それがランドセルであってもリュックサックであっても、最終的には同じ設計に行き着くのかもしれません。

 

 

ランドセルとリュックサックのこれから

 

 

ドイツとは違って、日本では子どもの通学用に設計されたリュックサックがまだまだ少ないのが現状です。しかし将来的には、ランドセルとリュックサックとの間にある境界線は消えてゆくかもしれません。

 

例えば京都府の宇治市・亀岡市・城陽市の小学校ではナイロン製のランドセルである「ランリック」という製品が普及しています。また、北海道の小樽市では「ナップランド」というナップサックとランドセルとを掛け合わせたような通学かばんが人気を集めています。

 

ランドセルの方も、年々新しいデザインの製品が開発されています。VONDSで販売するVONDSランドセルも、リュックのように立たせたまま簡単に荷物の出し入れができる「フロントロック」を採用しています。着脱可能な筆箱ポケットも備えています。

 

どちらも従来のランドセルにはない珍しいデザインですが、子どもが本当に使いやすい通学かばんを実現するために製品開発を進めていった結果とも言えます。

 

ここまで見てきましたように、ランドセルやリュックサックにはさまざまな製品があり、通学かばんとしてどちらが優れているかは一概に論ぜられるものではありません。

 

ただひとつ。最も大切なのは、それが子どものことを考えられて作られた製品であるか否かです。

 

 

最後に、冒頭の問いをまとめておきましょう。

 

「ランドセルとリュックサック」の大きな違いは、小学生が教科書を入れて毎日持ち運びすることが想定されているか否かです。大人用のリュックサックは小学生の身体には合いませんし、軽量なリュックサックでも重心バランスが取れていなければかえって負担が大きくなってしまいます。

 

ランドセルはこのあたりのことが考えられて設計されていますから、安価な粗悪品でない限りは、子どもの体にしっかりとフィットし軽く背負えるようになっています。

 

小学生の通学かばんにランドセルが採用される理由は、ランドセルが教科書を持ち運ぶのにもっとも適したかばんであるからです。

 

しかしドイツの通学用バックパックや日本の一部地域で採用される通学かばんのように、子どもの成長を考えて設計されたリュックサックは、ランドセルと比較しても遜色ない性能を持っています。また、ランドセルとリュックサックの線引きも曖昧になってきています。

 

以上、ここでは通学かばんとしてのリュックサックとランドセルについてご紹介いたしました。日本のランドセルや海外の通学かばんを見るときに「どうしてこういう構造をしているのだろう?」と疑問を持って観察すると、きっと興味深い発見ができると思います。

 

【公開日】2017/08/16

【最終更新日】2017/08/16