子供用ランドセル

子どもに勉強をさせるために知っておきたい3つの心理法則

子どもの勉強ノウハウに関する情報はたくさん出回っていますが、この記事では少し視点を変えて、教育心理学や認知心理学の観点から、教育に役立ちそうな考え方をご紹介いたします。

今回取り上げるのは「ピグマリオン効果」「アンダーマイニング効果」「自己目的的行為(フロー体験)」の3つです。古くから知られる心理学の法則が必ずしも現代のどのような場面でも適用できるとは限りませんが、ひとつの物の見方として知っておくととても役立ちます。


「教師の期待」に生徒が応える?(ピグマリオン効果)

1964年にアメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールという人がおこなった興味深い実験があります。ロバートは小学校に行くと、子どもたちに知能テストを受けさせました。そしてテストの結果を教師に報告するときに、何名かの生徒を選んで「この子は才能がある! 将来は絶対に伸びますよ!」といったことを先生に伝えました。

ロバートの言葉を信じた先生が、その伸びると言われた生徒を指導してみると、驚くことに本当に生徒の成績が大きく伸びたそうです。

この実験の肝は、ロバートの受けさせた知能テストがじつはダミーであり、「伸びる」と言われた生徒も彼が無作為にランダムに選んだ生徒に過ぎなかったことです。

すなわち、ここで生徒の成績を伸ばしたのが、教師の生徒に対する「期待」であったことがわかります。

他者から期待をされることで、その期待が本当に実現してしまう。あるいは他者から期待されていると意識することが、良い効果をもたらすこと。これをピグマリオン効果(教師期待効果)と呼びます。

ピグマリオン効果は、プラスにもマイナスにも働きます。

他の人への謙遜であっても、親が「うちの子は勉強ができないから」「うちの子は頭が悪いから」と言ってしまうことは教育上望ましくありません。子どもは、親から期待されていない(頭が悪いと思われていること)を本当のこととして受け取ってしまい、学習にマイナスの効果を及ぼします。

もちろん過度のプレッシャーを与えるほど期待するのも考えものですが、「うちの子はやればできる」と親が信じてあげることは、子どもの自己肯定感を育むと同時に、ピグマリオン効果によるプラスの働きをもたらしてくれます。

「宿題終わったらお小遣いあげる」は逆効果?(アンダーマイニング効果)

なかなか勉強をしない子どもを何とかその気にさせようと「勉強したらゲームを買ってあげるよ」「宿題終わったらお小遣いあげるよ」と何らかの報酬を提示することは、良い作戦でしょうか?

たしかに、報酬を与えることはモチベーションを高める効果をもたらしますが、ここで気をつけたいのが「アンダーマイニング効果」による逆作用です。

アンダーマイニング効果は、報酬を与えることによって、かえってやる気がなくなってしまう現象のことを指します。難しい言葉で言えば、外的報酬によって内発的動機づけが低減する現象です。

子どもが自ら学習に取り掛かるとき、それは新しい単元を学ぶのが面白いからかもしれませんし、問題を解く行為が楽しいからかもしれません。あるいはテストの点数を上げるべく、向上心に燃えているのかもしれません。

このような自分の内側からわき起こってくるやる気のことを「内発的動機づけ」と呼びます。

ところが内発的動機づけによって仕事や勉強をしているときに、外部からの報酬が与えられると、やる気が削がれてしまうことが心理学の実験で分かっています。

例えば、物語が好きで本を読んでいる子どもが「読書をして偉いからお小遣いをあげよう」とお金を貰ったら、なんだかお金のために本を読んでいる気がして読む気が失せてしまい、読書自体のモチベーションが下がってしまう……というのは感覚的にご納得いただけるかと思います。

これが認知心理学の世界ではよく知られるアンダーマイニング効果の罠であり、こと勉強について言えば、下手にお小遣いや報酬でやる気を出させようとするのはマイナス面が大きいです。

学習サポートの王道は、子どもの「内発的動機づけ」を刺激してあげることです。

すなわち、勉強自体を面白い、楽しいと思ってもらうようにすることが一番です。たとえ学問そのものに興味が見いだせなくても、ゲーム感覚で問題を解くことの達成感を味わえるのなら大成功です。

「学びたいから学ぶ」は最高の集中力を発揮する?(自己目的的行為とフロー状態)

内発的動機づけの究極系は「勉強したいがために勉強をする」という状態です。

例えば、子どもが遊びに夢中になるとき、その遊びには何らかの目的があるわけではなく、ただ遊びたいがために遊んでいます。

これを「自己目的的行為」と呼ぶのですが、自己目的的に取り組む行為では、非常に高い集中力(フロー)を発揮できることが知られます。子どもが遊びやゲームに熱中するときの様子を思い返せば、フロー状態がいかに凄まじい集中力であるかはご想像いただけるかと思います。

芸術家やスポーツ選手といった人たちはまさに「それをしたいからそれをする!」という自己目的的な動機づけによって、爆発的な集中力を手にしています。

かのイチロー選手も『やらされる練習じゃなければ、いろんなことが、うまくまわってきます。』と名言を残しています。練習を勉強に置き換えても、同じことです。

自己目的的な「学びたいから学ぶ!」という理想形に持っていくことは、なかなか思うようにはいかないかもしれませんが、それでも(叱りつけて罰を与えたり、逆に外的報酬で勉強をさせたりするよりも)長期的に見てずっと子どもの将来のためになります。

まずは「知らないことを学ぶのは楽しい!」ということをぜひお子さまと共有してみてください。

以上、この記事では子どもに勉強習慣を身に着けさせる上で役立つ心理学の法則についてご紹介をいたしました。勉強をポジティブで楽しいものにできるよう、親として出来得る限りのサポートをしていきたいですね。

 

【公開日】2018/08/10

【最終更新日】2018/08/10