明治時代から子どもの通学かばんとして使われているランドセルですが、昭和、平成と経てその在り方も移ろい変わってきました。平成に入ってからの30年だけで見ても、ランドセルの機能やデザインは大きく進化を遂げています。
この記事では「昔と比べてランドセルはどのように変わったか」について、100名の方にご協力いただいたアンケートを元にご紹介いたします。
「ランドセルは昔と比べて良くなった」と感じている人が9割近く
【質問】最近のランドセル製品についてどう思いますか?
・昔と比べて良くなった 89名
・昔とあまり変わらない 6名
・昔と比べて悪くなった 5名
(有効回答者数100人 調査協力:ランサーズタスク2018年)
今回実施したのは完全匿名のアンケートでしたが、嬉しいことに89%と大多数の方が「ランドセルは昔と比べて良くなった」とご回答くださいました。
良くなったと感じる具体的なポイントについて伺ったところ、次の3点が主な理由として挙げられました。
1.カラーやデザインが増えた
2.収納力がアップした
3.機能性がアップした
以下ではそれぞれについて、実際に寄せられたコメントをいくつかご紹介させていただきます。
子どもひとりひとりの個性を尊重するランドセルのカラーとデザイン
かつては「男の子は黒、女の子は赤」と画一的に考えられていたランドセルも、今では本当にカラフルで彩り豊かです。アンケートでは、現代のランドセルの良いところとして、カラーバリエーション・デザインの豊富さを挙げる声が最も多かったです。
実際に次のようなコメントをいただきました。
『カラーやデザイン(刺しゅう入りなど)が増え、選ぶことが楽しくなって来たと思います。』
『色や素材の種類が豊富で子供の個性を尊重できるようになったなと思います。』
『昔は黒と赤しか色の選択肢がありませんでしたが、最近はかわいいものから渋いものまで子供の好みで選ぶことができ楽しいです。』
『今の方が色もデザインも豊富で、選択肢の幅はかなり広いです。またジェンダーフリーで子供の個性を生かすこともできてよいと思います。』
「選ぶことが楽しい」といったご意見がいくつかあったのは本当に嬉しいことで、カラーバリエーションにしてもデザインにしても選択の幅が格段に増えたのはまさに大きな進歩と言えます。
ただアンケートでは、デザインの選択肢が増えたがゆえの問題点を指摘する、次のようなご意見もいただきました。
『とてもかわいいデザインの製品が増えたのは嬉しいのですが、低学年のときは似合っていても、学年が上がるとかわいすぎるのは使いづらくなってしまいます。低学年用と高学年用とでデザインを変えられたら良いなと感じるものの、ランドセルは6年間使うものですし…』
たしかに小学校1年生の頃と6年生の頃とで、デザインの好みが大きく変わることは珍しくありません。刺繍やステッチでかわいいデザインも、高学年になると子どもっぽいなと感じることはあるかと思います。
6年間使うことを考えるとシンプル・イズ・ベストで、飽きの来ない大人っぽいデザインのランドセルを選ぶのがおすすめと言えます。
もしかすると未来では、学年に合わせてデザインを自由自在に変えることのできるようなランドセルが販売されるようになるかもしれません。お子さまの年齢に応じたデザインの柔軟性を獲得することは、ランドセルのこれからの課題とも言えるでしょう。
A4フラットファイルが入るようになったランドセル
アンケートでは、ランドセルにA4フラットファイルが収納できるようになったことを評価する声がたくさん寄せられました。
正直に申し上げると、(A4対応でサイズが大きくなってしまったため)これは賛否両論あるかなと予測していたのですが、収納力向上を歓迎するコメントがほとんどでほっと安心しました。
『ランドセル自体の大きさが変わったことにより、A4サイズの用紙がそのままの状態で入れられるので便利です。耐久性も上がって、卒業まできれいな状態を保てるので良いと思います。』
『教科書の大きさや学校からの配布文書、宿題プリントなどをスムーズに入れられるようにA4版に対応しているのが良いと思います。色もたくさんあって選択の幅があります。』
『自分が子供の頃は重たいばかりでA4クリアファイルも入らなかったが、自分の子供のランドセル選びをしていると、A4ファイルは当たり前、上履きも入ってしまうところに驚きました。』
といったコメントが寄せられました。
昔は入らなかったA4ファイルが収納できるようになったことで、鞄としての機能性は大幅にアップしたと言えます。
充実するランドセルの便利機能
『昔と比べて軽くなって、昔は金具しかなかった机にかける上の部分も持ち手がついたり、ワンタッチでロックが出来るようになっていて一人で感動していました。』と、ランドセルの機能性について言及するコメントも多数ありました。
メーカーによっても異なりますが、昔にはなかったランドセルの機能としては次のようなものが挙げられます。
・錠前のオートロック(軽く押すだけでロックが閉まるので、閉め忘れの心配がありません)
・防犯ブザーフック(肩ベルトの左右に防犯ブザーの吊り下げフックがあり、左右どちらが利き手でもすぐに防犯ブザーを鳴らせます)
・安全フッカー(一定以上の加重がかかったときにフックが外れ、吊り下げた荷物の巻き込まれ事故を防ぎます)
・持ち手(革素材なので手で持ちやすく、使い勝手が良いです)
・立体形状肩ベルト(体幹に沿ってカーブする肩ベルトで、体感重量を軽くします)
このようにランドセルの機能性は、現代ではかなり充実したものへと進化しています。子どもにとって使いやすく快適な機能は、これからも追求をしていきたいところです。
ランドセルのこれからの課題について
さて、ここまでは「ランドセルが昔と比べて良くなった」とご回答された方のコメントをご紹介しましたが、一方で「昔とあまり変わらない」「むしろ悪くなった」と感じる方がいらっしゃることも事実です。
昔とあまり変わらないと答えた方のなかには、
『性能については、昔とあまり変わらないと思います。職人さんの技で、今も昔もしっかりとした丈夫で長持ちするランドセルは日本の誇りです。また、必要以上の加工は、ランドセルには不要だとも思います。シンプルイズベストです。』と、ポジティブなご意見をくださった方もいらっしゃいました。
一方で、今も昔も変わらないマイナス点として「重さ」を問題視するコメントが多く見られました。
『もっともっと軽くすることはできないのでしょうか。一年生にあの重さ、大きさは酷に思えます。実際腰痛になる子もいます。例えば一年から三年生はこのランドセル。四年生からはこのランドセル。というように買い換える方向に業界全体で世間を変化させる事はできないでしょうか。』
また、地域によっては最新デザインのランドセルが手に入りづらいことや、製品の高価格化が進んでいることを指摘する次のようなご意見もありました。
『不満としては、人気の工房のランドセルが買えるのは都市部に限られていると感じることです。工房系の新作ランドセルの展示会が行われるのは大体が都市部で、地方には回ってきません。インターネット通販で手に入れる方法はあるのですが、試しに背負ったことがないランドセルを購入するのはハードルが高いです。もっと地方にも展示会が回ってきてくれたらよいのにと思います。』
『安全性や軽さにも配慮してあって親としてはうれしい限りです。何年も使うものなのでお値段が高めなのは仕方がないですが、年齢と共に好みも変わることですし、例えば値段をおさえて2,3度買い換えることができればいいなと思います。』
これらのご意見やご要望を真摯に受け止め、ランドセルがすべての人にとってより使いやすくより良い製品となれるよう、未来に繋げて行ければと願ってやみません。
以上、この記事では昔と比べた現代のランドセルについて、アンケート結果と合わせてご紹介いたしました。大幅に使いやすくなった現代のランドセルを是非、展示会やショールーム等でお子さまとご一緒に体感されてみてください。
【公開日】2018/08/15
【最終更新日】2018/08/15