子供用ランドセル

ICTで小学校の授業はどう変わる? 2020年教育改革に向けて

今まさに、小学校の子どもたちの学習環境が大きく変わる、転換点を迎えています。2020年度からスタートされる新・学習指導要領では、英語教育の早期化やプログラミング教育の導入など、小学生の学習内容がさらに広がります。親としては期待よりも不安の方が大きいかもしれません。

さらに加えて、(現在はまだ過渡期ではありますが)今後6年間で急速に小学校に広まっていくであろうと考えられるのが、ICTを活用した授業・学習です。

最近では「ICT教育」という言葉もよく耳にするようになりましたが、これには2020年から始まる教育改革が大いに関係しています。

この記事では、小学校でのICT教育とはどのようなものであるのか。また、学校の授業や子どもの環境はどう変わっていくのかについて考えていきます。


ICT教育って何? 具体的に何をするの?

「ICT」とはInformation and Communication Technologyの略語で、一般には「情報通信技術」と和訳されます。

ICT教育は「タブレットパソコンや電子黒板などの情報通信機器を活用した学習を取り入れること」と簡単に説明することができます。

近未来的だと思われるかもしれません。しかしすでに生徒1人1台のタブレットパソコンを用意し、電子黒板とタブレットで授業を進めている公立小学校は何校もあります。総務省のプロジェクトで、2010年からICT導入の実証研究はなされてきました。
(※フューチャースクール推進事業 平成22年度~25年度|総務省
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/future_school.html)

平成30年度(2018年)から新しい学習指導要領への移行期間が小学校で始まっています。

来たる2020年の新・学習指導要領実施に向け、小学校のICT導入はますます浸透するものと考えられます。

ICT導入によって授業がどのように変わるのかをイメージするためにも、活用例について3つご紹介いたします。

活用例1 デジタル模造紙を使った調べ学習の発表

ICTの強みは、情報を一瞬で共有できるところにあります。

例えば生徒の書いたノートの内容をクラスみんなに共有したいと思ったとき、アナログであればスキャンをして印刷をして全員分の枚数をコピーして……と大変な手間がかかります。

これがデジタルならば、ボタンひとつで容易に共有可能です。校内Wi-Fiを使ってクラス全員のタブレット端末にデーターを転送することができますし、電子黒板に転送して拡大表示することだってできます。

ICTが取り入れられると、従来の調べ学習の発表で使っていたノートや模造紙が、タブレットに置き換えられます。

デジタルデーターは共有が手軽であるだけでなく「マジックやカラーペンのインク切れ」「発表後の資料・模造紙の保管」「書き損じ(失敗すると書き直せない)」等の問題を気にしなくて済みます。

理科の観察では、生徒がタブレット端末の内蔵カメラで写真や動画を撮影し、それをそのまま発表に活用することもできるでしょう。

教育用の「デジタル模造紙アプリ」が各社より販売され、学校で採用されています。それを使えば、班ごとに役割分担をしてひとつの発表資料を作成するといった行程も(アナログで模造紙のスペースを割り振るよりも)ずっと手軽で簡単になります。

大学生や社会人であればパソコンで作った資料でプレゼンテーションするのは日常茶飯事ですが、小学校や中学校でもそのような体験は珍しいものではなくなっていくでしょう。

活用例2 動画・音声コンテンツを使った学習

タブレット端末や電子黒板は、動画・音声コンテンツを使った授業を行いやすい利点があります。

例えば、英語の発音を子どもに教えるのにはなかなか難しい課題がありますが、ICTがそれを協力にサポートしてくれます。

発音時の口の動かし方を動画教材で学び、ネイティブスピーカーの講師の発音を聴き、自分の話した英語の音声波形を見ながら発音練習をする、といった高度な英語学習が、タブレット機器を用いて行われています。

英語に限らず、図形面積の問題(算数)、楽器演奏時の運指(音楽)、地球の自転と公転(理科)など、動画教材が活かせる単元は少なくありません。

文部科学省の改訂版小学校指導要領には「視聴覚教材やコンピューター、情報通信ネットワーク」を積極的に有効活用するようにといった文言が繰り返し登場します。
(小学校学習指導要領 比較対照表 平成29年|文部科学省
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/05/30/1384661_4_1_1.pdf)

これまではICT導入はまだ実証研究の段階に留まっていましたが、学習指導要領がこのように改訂され2020年より全国実施されることで、タブレット機器を使った学習もいよいよ本格化していくでしょう。

活用例3 プログラミング学習

2020年の教育改革でとくにインパクトのあるのが「小学校からのプログラミング教育必修化」です。

もっとも必修化と言っても「プログラミング」という科目が新設されるわけではありません。総合学習や理科などの授業枠を使って、児童がプログラミングを体験する機会が設けられます。

プログラミング教育で特殊な専門技能を身につけることは主目的ではなく、内容は(小学生が十分について行ける)基礎的なものとなります。コンピューターの基本操作と活用の仕方を覚え、プログラミングを通じて論理的思考力を育むことが期待されています。

小学校のICT導入の現状

小学校におけるICT導入は、着々とその準備が進んでいます。

普通教室の校内LAN整備率は2005年では44.3%に留まりましたが、2017年では88.9%にまで上昇しています。また、無線LAN導入校も19.8%から29.6%にまで増えています。
(※文部科学省「学校における教育の情報化の実態等に関する調査 平成29年」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1395145.htm)

従来の課題であったタブレットPCのコスト・バッテリーの持ち・接続速度等の問題も、製品技術の発展と共に解消されつつあります。

小学校でのICT教育が広く普及するようになるのは時間の問題と言えますが、ICT環境の整備に関して地域間格差が見られるのも事実であり、今後の流れが注視されます。

ICTで小学生の通学かばん事情が変わる?

ICT教育が浸透すれば、小学生の通学かばん事情も変わるかもしれません。

「通学時の荷物が小学生には重すぎる!」といった声がよく聞かれます。脱ゆとり教育でますます重さを増す教科書と副読本には、ランドセルメーカーも頭を悩ませてきました。

ランドセルの軽量化と背負いやすさの向上に成功しても、入れられる荷物の重さにはどうしても限度があります。

小学1年生で、荷物とランドセルとを合わせた総重量が4kgを超えているといった事例も確認しています。小学生1年生の平均体重はおおよそ21kg前後ですから、体重の19%もの荷物を背負って登下校していることになります。

これははっきり言って、危険水準です。アメリカ合衆国消費者製品安全委員会(CPSC)は、登下校時の荷物の重さが原因で毎年7000人の児童が身体を痛めていると警告しています。カリフォルニア州では2003年に小学生向け通学かばん(バックパック)の重量を制限する法案が出されたくらいです。

ICTの普及により将来、教科書やノートがタブレットPCに置き換えられるのであれば、それは子どもにとっても良いことだと感じます。どのような未来になったとしても、ランドセルは使いやすくて背負いやすい、子どもたちの支えとなれる通学かばんであり続けられるよう願っています。

見出し:参考文献の紹介

最後に、当記事を書くにあたって参考にした書籍をご紹介いたします。

・『教室にICTがやってきた』葛飾区教育委員会・監修/葛飾区立本田小学校・編集(NTT出版 2014年)

総務省のフューチャースクール推進事業で、全国に先駆けてICTが導入された小学校のレポートです。ICTの利点と欠点、そしてこれからの課題が授業例や生徒の作品例を挙げて詳しく記載されています。

教育・学校関係者の方にもおすすめしたい書籍です。

 

【公開日】2018/08/24

【最終更新日】2018/08/24